少し痩せようと思っただけだった。
まさか「夕食を軽めにする」から「水も飲めない」になるなんて思ってもみなかった。
どこまでがダイエットで、どこからが拒食症なのか、ボーダーは無いと思う。
こんにゃくしか食べないからとか、体重が30キロだから、とかでもなく。
思考の、頭(心?)の中の問題かなと。
拒食症の世界感はもう独特で、通常の判断も基準もそこには皆無。
馬鹿馬鹿しいけど、500g増える事が「死」に値するような価値観。
少なくともあたしはそうなってた。
誰に対しても、食べた食べたと言い続け、ひたすら食べ物を拒んでいった。
最初はちょっと痩せたよねって言われるくらい。そのうち体の事は誰も何も言わなくなる。
卒業前から、短大時付き合ってた人と別れ、1Kアパートで別の人と同棲し始めた。
彼氏には、会社で3食出るんだ〜とか言って、いつも彼氏のみか、しょっちゅう来る共通の友人の分のみ食事を作ってた。
今日も会社でいっぱい食べたよって言い続けながら。
会社に行けば、うちですごい食べたと言い続け。
食べてないと悟られるのが嫌で、絶対口にしないお菓子やアイスの名前だけ覚えて、アレを昨日食べておいしかっただとか、
あの店のパフェはおいしいだとか話して、今考えると、くだらな過ぎる事に時間を使ってたと思う。
かと言って、ほんとに何も食べてない訳ではなく、自分の中で食べていいものに枠付けられた品物のみ摂取してた。
それでも、このトマト1コ食べたら20Kcalかぁ・・・とか悩みに悩んで口に運ぶのである。
笑えるくらいバカバカしい。
身長160センチ以上のあたしが30キロ台になった頃、会社では拒食症と噂され始め、友達にも色々と言われ始めた。
彼氏には体の病気の事を言ってあったので、彼はそれが再発したんだと思ってた。
心配された。
その頃あたしは栄養失調で、脳みそも萎縮してたし、モノを考えたり、記憶する事が殆ど出来ない状態で、まともな思考回路じゃなかった。
「痩せていけば愛情がもらえる」それしか頭に無かった。
心配と同情と奇異の目と、愛情と優しさ、全てが同じ塊に思えてた。
不思議なもので、歩くのもやっと、椅子には痛くてクッションがなきゃ座れない、便座には落ちてしまうので洋式は使えない。
爪ははがれて、髪はどんどん抜け落ち、内臓もアチコチおかしくなっていく。
それでもあたしは食欲というモノを自己コントロール出来てるって満足感に浸ってるの。
病気だなんて微塵も感じてない。
何の為に生きてるの?って聞かれたら、痩せるためって真顔で答えてたんじゃないかと思う。
あぁくだらない。
この状態の人を救うのはかなり難しいと思う。
骨だけで気持ち悪いよって言葉すら嬉しかったし、食べるくらいなら死んだほうがいいって本気で思ってるから。
ある程度栄養を体に与えてあげて、体重もそれなりに改善されれば思考の歪みも治ってくる気がするので、
「食べる」という事が先決だと思うけど、そう簡単に食べてはくれないと思うので、病識を持ってもらって、
今の姿は醜いからきれいになろうねって分かってもらえたらいいね。
大切な人がそうだったら。
2004.3