初めは画鋲だった。心底嫌で、嫌で。自分の奇行が。食べて、吐く。また食べて吐く。
食べるものが無くなったら真夜中大雪でも買いに行く。
お金を持たなきゃいいんっだって財布に数百円しかいれてなくても、過食嘔吐の波がくると、
24時間下ろせるとこまで下ろしに行く。
アパートの目の前ファミマ。毎日大量のお菓子とパンを2回も3回も買って行くガリガリの女。
店員も覚えただろうな。
嫌になったんだよ。そんな毎日が。だったら止めろよって思うのは、その通り。
一生あたしは毎日こうやって生きて行くんだって信じて疑わなかった。
止めたい止めたい吐きたい食べたい止めたい・・・。葛藤してた。誰にも言えないし。
泣きながら食べて、吐いて、お前なんか死んじゃえっていっつも誰かに言われてる気がして。
甘えてたんだと思う。止めたいと思いながら、決心が鈍かった。
吐き終えて、ベッドでうなだれながら壁に刺してあった画鋲で腕を刺した。
痛くなくて。スッキリしたんだ。
嘔吐後の罪悪感が消えて行くような気がして心地良かった。それも一瞬。だから何度も刺したの。
嘔吐が日課だったけど、こうしてリスカ・アムカも日課になっていった。
画鋲はカッターになり、包丁になり。
結局現実から逃げる為に過食嘔吐をし、その罪悪感から逃げる為に自傷行為をしてたんだと思う。
逃げる事全ては否定しないし、そうした方がいい時もあると思う。
誰かに頼ったり、甘えたりがあってもいいと思う。ただ、あたしは逃げ場を大きく間違ってたんだ。
過食嘔吐の事は、仲のいい友達にはある程度言ってたけど、腕切ってるなんて、
友達にも家族にも、ずっと誰にも言えなかった。
彼氏だけは必然的に見られてしまう訳で知られてたけど。
彼氏のうちでカッター必死に奪おうとしたり、泊まりに行って布団と洋服血塗れにして、
お母さんに洗ってもらったり、ほんとにどうしようもない女だった。
他人を巻き込んで、散々迷惑掛けておいて、それでも心のどこかに病気だから仕方ないとか、
あたしが1番辛いみたいな考えがあったと思う。
思考回路が幼児以下ってなもので。
お父さんに初めて腕を見られた時、今まで見たこともない形相で、激しく叱られた。
「お前は親から貰った体をこんな風にして・・・」って。そこでアホなあたしは、逆ギレする訳だけど。
隣の部屋で泣いてるお父さんの声を聞いて、本気で止めなきゃと思い始めた。
すぐには無理だったけど。
よく切りたくて切ってるんじゃないとか、もう止めたいとか、言ってた。
嘘だったと思う。心配されたかったんだと思う。注目されたかったんだと思う。
あなた達とは苦しみの重みが違うって言いたかったんだと思う。物凄く傲慢だけど。
かわいそうな自分に酔ってたんだと思う。守って欲しかったんだと思う。
自分の至らない点は全部病気のせいにしたかったんだと思う。
生きるために・・・なんてものではなく、コレがあれば多少の事は許されて、
甘えていけるかもって勘違いしてたんだ。
生きやすくするためだった訳。
まぁそれは腐った脳みそが作り出した妄想でしかなくて、実際生きやすいはずがない。
リストカット・アームカットから決別する為に必要なのは、気付く事かなと思う。
何に?と言われたらうまく言えないけど。
常識的じゃないから止めろとか、自分を傷つけるなんておかしいよとか、狂ってると言われても、
そんなのは口ではなんと言ってようが、頭のどこかでは本人も承知の上でしてる訳で。多分ね。
常識とか当たり前って言葉自体が嫌いな人も沢山いると思うけど。
少し強くなって、ちょっと客観的に自分を見れたら、もう切る必要は無いなって思える日が、必ずくると思う。
そんな風に思えるのも止められた今だからなんだけど。
腕を切るなんて意味不明で馬鹿げた事してた自分なんて忘れちゃえとか、
そんなの自分って認めるな、今のお前がほんとのお前なんだから。とかね、
色々言う人がいるし、そういう考えも間違ってないと思う。
けど、あたしは、あたしの場合は、自分を丸ごと受け入れようって思ったから、
毎晩腕と手首を切ってた自分も確かにあたしで、あの頃あたしは不安定で、甘えてて、
心配されたくて、自分が世界一不幸だっていう勘違い女だった。
っていうこんな言葉だけじゃ表せない弱い人間だったんだ。それを忘れようとは思わない。
大事な人にもう傷を増やさないでって思ったら、責めるんじゃなくて、
当たり前の言葉で説得するんじゃなくて、愛してあげてね。
愛情をいっぱいいっぱい降り掛けてあげてね。
そんな事しなくても、傍にいるし、弱くたって、我儘だって、丸ごとお前が大好きだって伝えて。
そしたら気付くんだよ。目の前が開けてくるんだって。
以上、ぜ〜んぶあたしの勝手な思考なので、みんな同じ訳ないから何言ってんの!?風なとこもバンバンありでしょうが。
現実問題そんな簡単じゃない事も分かるんだけど。
ただあたしはもう何があっても、誓って、自ら自分の血を流す事はしない。そう決めたのだ。
2004.4